ご先祖様を迎え入れる盆提灯

仏教ではお盆の時期を迎えると、各家庭で提灯の準備をします。盆提灯と呼ばれる習わしです。盆提灯にはどんな意味が込められているのかご存知でしょうか。

お盆は先祖や故人の霊が帰ってくるのをおもてなしする行事です。その時、迷わず家に帰ってこられるよう目印とするのが盆提灯なのです。 宗派や地域によって盆提灯の飾り方は多少異なりますが、玄関先にお迎え提灯を吊るし、お仏壇の両脇に床に置くタイプの提灯(行灯)を飾ります。 多くの場合、提灯には家紋を印します。床に置く行灯は、提灯の中に取り付けた回転灯がまわって絵柄を映し出す回転行灯と、 脚部分をはじめとするパーツが木製でできた大内行灯の二種類があります。大内行灯は高級でお値段も張ります。 代々続いているような大きなお屋敷でみかけることができます。

さて、お初盆を迎える家には、親族や知人が盆提灯を送る習慣があります。贈られた盆提灯もお仏壇の側に飾ります。 盆提灯には家紋を入れることが多いです。もし家紋入りの盆提灯を贈る、もしくは新調する場合は、家紋に間違いが無いよう、購入先に伝えることが必要です。 家紋は一見同じように見えて、実は異なる家紋だったということがよくあります。 まして、贈り物としての提灯で家紋の間違いがっては、贈り先の家に対して大変失礼に当たりますので、ここは慎重に注文しましょう。 イラストや写真で説明できると間違いがなくて安心ですよ。他にも盆提灯には涼やかな絵柄の入ったタイプのものもあります。 故人の生前のイメージに合わせた絵柄の提灯を贈るのも喜ばれそうです。

ところでお盆の提灯を飾る期間を知っていますか?先ほどから述べているように、盆提灯はご先祖様への目印です。 「家はここだよ~。間違えずに帰って来てね~。」とお知らせをしているわけですから、お盆を迎える前には必ず飾っておかなければなりません。 よくキュウリとナスに割りばしを4本指して飾りますが、あれは先祖様の乗り物を表しているんです。キュウリが馬でナスが牛です。 ご先祖様が帰ってくる時は「少しでも早く来てほしい」という願いをこめてキュウリの馬を飾ります。 逆にお盆が終わる際には、あの世へのんびりと戻っていただくようにナスの牛を飾ります。それぞれの飾りの意味を知ると、本当に興味深いですよね。