提灯をもっと知りたくて

提灯が日本の歴史上で確認することができるのは、『朝野群載』という文献だそうです。西暦1085年に書かれたとのことですので、今からざっくりと千年前になります。 このころの日本は平安時代、白河天皇の御代です。白河天皇といえば、なかなかプライベートがドロドロしていて、そのあたりを掘り下げるとかなり面白いんですが、 それはまた別の機会に・・・ということで、白河天皇は日本で最初の上皇となった人で、いわゆる院政時代が始まった時代になります。 その頃の提灯がどのような形状であったかは定かではないのですが、どうも今と同様に折りたたみは可能な構造だったらしいです。 江戸時代以前は提灯は照明用というより、宗教的な意味合いが強く、儀式や祭礼で使用されていたそうです。 つまり、庶民に広まってはいなかったんですね。それが江戸時代に入ってロウソクが普及したことによって、庶民にも夜間照明用として提灯が使われるようになりました。

私たちが時代劇でよく見るのは、たいてい江戸時代のお話しが多いと思うんですが、その頃には今と同じ形状の提灯が良く見受けられます。 特に、捕物系のドラマで「御用」と書かれた提灯を手に持った、今で言う警察官のような人たちが大勢出てくるシーンはよく見ます。 またほろ酔い気分でご機嫌の若旦那あたりが、提灯片手に夜道を千鳥歩きで家路につく、なんていうのもお決まりのシーンです。 (たいていこの後事件に巻き込まれるのですが・・・)

このように一般庶民へも広まった提灯ですが、照明としてだけでなくお祭りの装飾に使われたり、提灯そのものがお祭りの主役だったり、 お祭りと深い関わりを持っています。地域の神社のお祭りや露店が並ぶ夏まつりなどではお祭り提灯をいくつも並べてお祭りムードを高めます。 ちなみに日本には三大提灯祭りと呼ばれるものがあります。秋田の竿燈、福島の二本松提灯祭り、愛知の尾張津島天王祭です。 いずれもたくさんの提灯を使用しており、夜になって火が灯ると、とても美しく、かつ荘厳で見ごたえのあるお祭りです。

また日本では、お祝い事があった時に、火を灯した提灯を手に持ち、大勢で列をなして歩く「提灯行列」という慣習があります。 国を挙げてのお祝い事、たとえば天皇陛下の即位、婚礼、長寿祝い(米寿、傘寿など)などから、地元のプロ野球チームの日本一を祝うものであったり、 規模はさまざまですが全国各地で行われます。やっぱり、日本人と提灯って深い関わりがありますね。